プリミティーヴォの可能性を気高く引き出す表現者
熟成の複雑味とスケール感 テロワール・プリミティーヴォ
ヴァルヴァリオーネは1921年に創業された家族経営のワイナリー。イオニア海に面する風光明媚なターラント湾近郊に位置し、マンドゥーリアを含む250haの畑を持つ。
〈グラン・マーレ〉=偉大な海と表現するターラント湾外のイオニア海からは常に風が吹く。潮風に吹かれ、畑で健やかに育った葡萄は、品種を問わずヴァルヴァリオーネの全てのワインに独特の塩味をもたらす。南イタリアの豊かな日照を活かす、入念なキャノピーマネジメントによって、樹齢が高い葡萄においても味わいを下支えする酸味を残す。
創業以来ヴァルヴァリオーネ一族は、この地でプーリア州の代表品種であるプリミティーヴォに向き合ってきた。ポテンシャルを信じ、樹齢80年以上を含む樹を伝統的なアルベレッロ式で仕立てる。濃厚な果実味だけでなく、熟成が引き出す複雑味は気品に溢れ、先代のコジモ氏を冠したコジモ・プリミティーヴォはGAMBERO ROSSOトレビッキエーリの他、各国のコンクールで高評価を獲得。プリミティーヴォの偉大さを世界に知らしめる存在へ成長を遂げている。
ヴァチカンへ贈られた〈パパーレ〉ワイン
現ローマ教皇であるフランチェスコ教皇が選出された2013年の教皇選挙〈コンクラーベ〉時、ヴァチカンの国務長官宛てに115本のパパーレを送る注文があり話題を呼んだ。当時コンクラーベに参加した枢機卿の人数は115名で、注文時点で新しい教皇は決まっていなかった。パパーレ=〈教皇〉を意味するこのワインは、18世紀に初めてプーリア出身の教皇となったベネディクト13世へのオマージュとして造られた。ラベルには18世紀当時の記事が書かれる。ヴァルヴァリオーネが世界の耳目を集めるきっかけとなったワインである。
新時代の到来〈12.5〉ワイン
フルボディのワイン造りを伝統とする一方、フードフレンドリーさと、ワインに触れるきっかけを提供するため、4代目となる当主マルツィア氏主導で考案したのが12.5シリーズ。華やかなデザインと、12.5%の低アルコールながら飲み心地と満足感を両立させる高い完成度を持ち、ヴァルヴァリオーネを国際的な生産者へ押し上げるワインとなった。
4代目当主マルツィア 家族の伝統と進化への挑戦
当主のマルツィア氏はヴァルヴァリオーネ家の4代目。家族一丸で事業に参加しており、先代のコジモはエノロゴとして引き続きワイン造りを行い、大規模な近代化も指揮した。当代は3姉弟で、長男アンジェロはアグロノモとして持続可能な環境作りに取り組み、次女フランチェスカはワイン醸造の学位を取得、ゆくゆくはコジモ氏を継いでエノロゴとなる予定である。長女マルツィアは当主として市場のトレンドを先取りし、家族経営ながら年間500万本を生産するワイナリーを率いる。
毎週日曜日には親族一同で食卓を囲み、平日には家族でランチを食べる。それぞれが持つ様々な役割や仕事について話し合うのと同時に、ただ一緒に過ごし、笑い、リラックスする。
ヴァルヴァリオーネを国際的な地位に高めるために果たした役割が評価され、MASI、ANTINORI、FRESCOBALDIらも参加するイタリアの若手ワイン起業家協会〈AGIVI〉の会長にマルツィア氏が選出された。若い造り手の成長支援、伝統的に男性が主導してきたワイン業界のジェンダー平等を促進し、次世代のワイン業界をリードする。
次の100年に向けてヴァルヴァリオーネが紡ぐ未来へのアプローチ
1921年の創業から100年の間に、イタリアを代表するトップワイナリーへと成長と遂げたヴァルヴァリオーネ。次の100年に向けて不可欠な持続可能性を達成するため、生産における高い倫理基準と品質へのこだわりを実現する。
環境面では、エネルギーと水の使用を削減し、廃棄物を最小限に抑え、畑での生物多様性を促進する。
社会面では、公正な労働環境を確保し、働く人々の福利厚生を強化する。地域とのつながりを持ち、共に発展することを目指す。
経済面でも、事業を継続するためには利益が必要であることを認識し、フォーブスが選ぶ欧州で最も成長したワイナリーにもイタリアで唯一選出されるなど、長期的な経済的安定も追求している。